研究概要 |
キモトリブシンインヒビターの一次構造の決定並びに遺伝子構造の解析(藤井・土井良・麻生) 昨年度に確立した体液キモトリプシンインヒビターの系統的分離法に基づき、Ict-A遺伝子に支配されているキモトリプシンインヒビターの1つであるCI-13,CI-13はCI-13a,CI-b,CI-cの3成分よりなっており、それらを各々分離した。その1つであるCI-13aのアミノ酸配列を決定した。CI-13は2-MEの存在下、および非存在下でトリシン-SDS電気泳動により、いずれも単一のバンドを呈し、その分子量は7〜8kDaであった。アミノ酸配列を自動アミノ酸配列ならびに手動アミノ酸配列分析を行い、アミノ酸配列を決定した。CI-13aは62残基よりなり、その分子量は7,065であった。 脂肪組織よりcDNAライブラリーを構築し、CI-13のアミノ酸配列に基づくオリゴマーを作成し、これをプライマーにしてPCR法を用いてCI-13遺伝子の増幅をおこない、CI-13CDAプローブをつくり、cDNAライブライ-よりCI-13をクローニングした。現在塩基配列を決定中である。 キモトリプシンインヒビターの物理化学的並びに生化学的諸性質の解明(古賀・河口) Ict-A遺伝子支配のCI-1,2,2'を分離しその物理化学的・生化学的性質を調べた。CI-1,2,および2'の等電点は7.3,7.3,および6.8であった。各々のpHおよび熱安定性は共にpH2.1〜pH11.9の範囲で24時間安定であった。pH7.4で種々の温度に30分間保温後、残存活性を測定したところ、いずれも90℃、30分の熱処理において安定であった。アミノ酸組成をみるとこれらすべてのCIは62個のアミノ酸よりなっていた。また各分子は6個のCysを含有し、met,ValおよびHisを含んでいなかった。
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