ポット実験により、水稲生育の全期間にわたりメタン発生量を測定するとともに、生育期間中3回、水稲に2時間^<13>C-CO_2を吸収させた後、経時的に発生するメタン量を測定するとともに、メタン中に含まれる同位体^<13>Cの割合を定量した。 その結果、8月8日に行った^<13>CO_2吸収実験では、発生するメタンの約90%が光合成産物に由来すること、その割合が8月30日、9月18日の実験ではそれぞれ30%、10%に減少することが判明した。 以上の結果と、メタン発生量の季節変化の結果から、化学肥料施用区では光合成により同化された炭素が速やかに根圏に運ばれメタンに代謝された後、大気へ再び放出されるものが全体の約40%、残りの大半のメタンはその起源が、一旦根組織となりその後の枯死、脱落にともなってメタン生成菌に利用された光合成産物であると推察された。 以上のように本研究は、これまで水田から発生するメタンの起源として、あまり考慮されてこなかった水稲由来の炭素が化学肥料区では極めて大きなメタンの起源であることを明らかにした。 なお、別個に行った稲ワラ施用区と無施用区の結果から、稲ワラ施用区から発生するメタンの内、稲ワラに由来するメタンは約50%であることも明らかとなった。
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