研究概要 |
本研究は、伝統的な有用細菌種を育種するための効率の良い技術を開発し、コレステロールの分解能を付与した優良菌株を育種して、食品材料を処理し、食品中のコレステロール価の低減を目的とした基礎的研究を行おうとしたものである。本年度は以下のような研究を行った。 1。日本、インドネシア、フイリッピン、タイ、ネパール、ベトナムおよびエジプトの伝統的な醗酵食品よりさらにいくつかの乳酸菌株を分離した。 2。フイリッピンの発酵食品より分離した乳酸菌、Lactobacillus plantarumのプラスミドを解析した。L137株は1.8から60kbの大きさの15種のプラスミドを持っていた。これを薬剤処理により、8種類にキュアリングした株を宿主として検討した。また、この株の持つプラスミドを組み換え、2種類(pRN14,pRN96)のベクターを作成した。 3。乳酸菌への遺伝子導入のためのベクターの構築のため、広宿種グラム陽性菌ベクター(pSA3,pGK13)を用いて、乳酸菌株への効率的な遺伝子導入条件を、本研究補助金により購入した遺伝子導入装置を使用して検討した結果、L. plantarumに形質転換することに成功した。この条件を使用し、L. plantarumからのベクターも同菌株へ導入された。 4。乳酸菌への形質転換系ができたので、ついでコレステロール分解系の最初の遺伝子、コレステロール酸化酵素遺伝子(choA)を上記ベクターに挿入し、このベクターをL. plantarumに導入した。 5。乳酸菌内でのchoA遺伝子の発現量が低いため、プロモーターを種々置き換えて酵素活性量の増大を検討している。
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