タケ・ササ類の葉は枝から切り離すとたちまち水欠差を生じて萎れるために光合成の測定が困難であった。このためわが国はもとよりタケの生育が多い熱帯地域でもこの種の研究は未着手のままに置かれていた。しかし、近年、携帯式光合成蒸散測定装置が開発されて樹木は勿論のことタケ類でも野外で着葉のままで測定することが可能となった。今回の測定に用いた種はマダケ属、ホウライチク属、ササ属、その他熱帯性タケ類などから特徴のあるものを選んだ。ただし、ホウライチクを除く熱帯性タケ類は温室内で鉢植えして保育されていたものを測定時だけ野外に持ち出して測定したものであり、条件が多少異なっていることは否めない。モウソウチク、マダケ、ホウライチクではそれぞれの生育パターンが違っているがそれを裏付けるような光-光合成曲線、葉温と気温の関連性が得られた。これまで成長を生育過程や葉分量の変動からのみ論じていたが、今回の調査結果から光合成とその関連項目からも説明が可能となった。 なお、今回使用した測定装置のリーフチャンバーは広葉樹のような葉面積が大きな試料の利用には適しているがタケやササのような被針形の葉には適していないので受光部を改良することによってりようした。この場合の受光部の面積は1x5.7cm^2である。
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