これまでに戸田は、スギの2倍体の核型がF染色体の構成により0、I、II型に分類され種内変異のみられることを明らかにしている。そこで、今年度は日本各地の精英樹の中から選抜された3倍体を収集し、3倍体の核型を分類することとし、村上市2号、真庭5号、ヒノデスギが0型、ウラセバルスギがII型であることを確認した。また3倍体とされている輪島6号が2倍体のI型であり、玖珂1号が3倍体の中のI型である可能性を見いだした。尚、スギの0型、I型、II型およびメタセコイアについてはコルヒチン処理による4倍体作出を試みている。 ロ-ソンヒノキおよびロ-ソンヒノキの園芸品種として知られているコルムナリス(商品名)について核形態学的分析を行ったところ、両者の核型は類似しているが、コルムナリスの二次狭窄染色体数は3対6本とロ-ソンヒノキよりも1対2本多く、1細胞当りの核小体数最大6個を検出した。さらにFISH法においては、今回ヒノキ科樹木から初めてプローブを作成し、それを用いてrRNA遺伝子の検出を試みたところ、コルムナリスの体細胞間期核のFITC像に6カ所のシグナルを検出した。これらの結果からロ-ソンヒノキにもスギ同様に核型の種内変異の存在する可能性が見い出された。現在、体細胞分裂中期像、特にNOR染色体の介在部に蛍光シグナルの良好な像を得る成果を求めて研究続行中である。
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