研究概要 |
魚類の卵黄成分であるビテロゲニン(Vg)の合成機構を明らかにするために、コラゲナーゼ還流法により分離したウナギとニジマスの肝細胞を用いて、エストロゲン(E_2)によるVgの合成に対し、脳下垂体ホルモンがどのように関与しているかについて調べ、次の結果を得た。 1.ニジマスの肝細胞では、E_2添加により培地に多量のVgが合成 分泌されたが、ウナギの場合には、E_2だけではVgはほとんど合成されなかった。この場合脳下垂体ホルモンである成長ホルモン(GH)またはプロラクチン(PRL)をE_2と共に培地に加えることにより、多量のVgが合成された。 2.In vivoにおいても、脳下垂体摘除ウナギにE_2を投与した場合には、Vgの合成は誘起されなかった。 3.E_2であらかじめプライムしたウナギから分離した肝細胞においても、E_2の添加だけではVgの合成能は徐々に低下したが、これにGHまたはPRLを加えることによりVgの合成能は顕著に促進された。 4.Vgの合成は、E_2(2x10^<-6>M),GH(50ng/ml)およびPRL(1ug/ml)の添加濃度で最大におなった。 以上の結果から、ニジマスとウナギではVgの合成に対する脳下垂体ホルモンの関与様式が異なり、特にウナギの場合にはE_2だけではVgの合成はほとんど誘起されず、GHまたはPRLの存在下においてE_2によりVgが顕著に合成されることが明らかになった。
|