研究概要 |
研究実施計画に従って行った平成5年度の結果は以下のように要約される。 1.感染病魚(シマアジ仔魚)から既報の方法により純化したウイルスを用いて分析した結果、本ウイルスは2種類のRNA分子(RNA1:1.01×10^6 Da,RNA2:0.49×10^6 Da)を有し、RNA1は非構造タンパク(分子量約100kDa)を、RNA2は構造タンパク(約42kDa)をそれぞれコードしていることがわかった。 2.シマアジ病魚由来のウイルスに対するポリクローナル抗体を用いて、間接ELISAによる親魚血清からの抗体検出系を確立した。本法を用いて検討した結果、各地で養成されていた産卵期のシマアジおよびキジハタ親魚の血清から極めて高率に抗体が検出された。なお、モノクローナル抗体(作製済み)を用いた検出系は現在検討中である。 3.上記のELISA法を用いて抗体の有無によりシマアジ親魚を選別産卵させた結果、抗体が検出されなかった親魚から得られた仔魚では病気の発生頻度は低かった。しかし、抗体保有親魚からの仔魚にも病気が発生しないケースもあったことから、本法は本病の防除法としてある程度は有効であるが、絶対的ではないと判断された。 4.本ウイルスの構造タンパク遺伝子(RNA2)をクローニングし、遺伝子の塩基配列の一部を決定した。その塩基配列に基づいて5種類のプライマーを作製し、PCR法によるウイルス核酸の検出系を確立した。本法のウイルス検出感度は従来のELISA法に比べて10,000倍以上高く、今後産卵用親魚からのウイルス検出に有効と考えられた。
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