研究課題/領域番号 |
05454096
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伏谷 伸宏 東京大学, 農学部, 教授 (70012010)
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研究分担者 |
松永 茂樹 東京大学, 農学部, 助手 (60183951)
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キーワード | 海綿 / 細胞毒性 / ポリペプチド / 二次元NMR / 立体 / コンフォメーション / チャンネル形成 / β-ヘリックス |
研究概要 |
八丈島産海綿Theonella swinhoeiから単離し、二次元NMRから平面構造を決定した強力な細胞毒性ポリペプチドpolytheonamideA-C(当初theostatinA-Cと命名したが、種々考慮の上polytheonamideA-Cに改名)のうち、polytheonamideBについて、以下の研究をおこなった。 まず、構成アミノ酸の絶対立体配置をChirasil Valカラムを用いるGC分析ならびにMarfey誘導体のHPLC分析から決定した。 次に、アミノ酸残基の絶対立体配置を決定するため、部分加水分解で得られたペプチドフラグメントのアミノ酸配列をタンデムFABMSで決定した。そのペプチドフラグメントをdansyl誘導体に導き、完全加水分解後Martey試薬と反応させた。Dansyl化アミノ酸はキラルカラムを用いるHPLC分析、それ以外のMarfey誘導体化したアミノ酸はHPLC分析に付し、各フラグメントに含まれるアミノ酸残基の絶対立体配置を決定した。その結果、DおよびL型アミノ酸が交互に存在する興味ある配列であることが判明した。 Gly-L-Bmi- -Gly-L-Tle-D-Tle-L-Tle-D-Ala-L-Tle-D-Tle-L-Ala- Gly-L-Ala-D-Tle-L-Ala-D-Asm- -Hvl- -Gly-L-Ala- -Gly-L-Tle- D-Asm- -Bmg- Hvl-L-Ala- -Gly- -Gly-D-Asm-L-Ile-D-Has-L-Tle- Hvi- -Gly- -Asm-L-Ile-D-Asm-L-Val-D-Has-L-Ala-D-Asm-L-Val- D-Ser-L-Val- -Asm- -Htl- -Asn-L-Gln-L-Thr-D-aThr Bmi:β-MeIle Bmq:β-MeGln Tle:t-Leu Has:OHAsm Hvl:OHVal Htl:OH-t-Leu NMRならびにCDスペクトルから、polytheonamideBはクロロホルム-メタノール(1:1)中でヘリックス型のコンフォメーションを形成することが示唆されたので、NMRからの情報をもとにDADAS90プログラムにより構造計算をおこなった。その結果、polytheonamideBは、この溶媒中で右巻きのβ-ヘリックス型のコンフォメーションをとることがわかった。このコンフォメーションは、チャンネル形成性ペプチドのgramicidinAが脂質二重膜中でとるものと同じコンフォメーションであることから、polytheonamideBの活性発現はこの筒型のコンフォメーションに関与することが推察された。
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