研究概要 |
平成5年に引続き森林において表面温度と気温の関係を測定し,衛星データの表面温度から地域気温を推定するための基礎的解析を行った。森林の6月から10月までデータを用いて気温と表面温度の関係を調べた結果,気温と表面温度の相関係数は日中に低く,夜間に高いことが確認された。また表面温度以外の気象要素については純放射,飽差とも時刻による特徴は無かった。さらに時刻毎に単相関(気温と表面温度)と重相関(気温と表面温度,純放射,飽差)を調べた。夜間には単相関係数と重相関係数の差はほとんど無かったが,日中は重相関係数がよいことが判明した。これは日中の純放射の影響のためであることが判明した。 どの時刻の表面温度から日平均気温が良く推定できるかを調べた。その結果,午前6-7時ころと,午後17-18時頃の表面温度と日平均気温の相関が最も良いことが判明した。推定精度が悪い時間帯は昼の12時前後である。したがって,朝7時頃と夕方6時頃の衛星データを用いて地域的な日平均気温の推定が精度良くできる。 さらに気温と表面温度の回帰式の検討を行った。標準回帰係数の検討の結果,日中に気温と表面温度の関係が悪いのは,純放射が気温に負の影響を与えているためである。また飽差の標準回帰係数は0に近く,気温に大きな影響を与えていない。さらに,植生が変化した場合の回帰係数の変化を調べるため,回帰係数と群落抵抗値の関係を調べた。森林の群落抵抗は500に近いことが判明した。
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