本年度は過去3年間の測定結果のまとめを主眼に行った。解析項目は表面温度と気温の相違、表面温度の最高最低値の出現時間、表面温度による気温の推定、1時間平均表面温度による日平均気温の推定、ノア衛星通過時の表面温度と最低表面温度の関係、ランドサット通過時お表面温度と日平均気温の関係などである。その他、衛星データを使用した植生変化に伴う地域的な土地利用変化の検出法、植生変化に伴う地域的な地表面温度の変化予測式の解析も行った。 表面温度と気温の相違については日中は表面温度が高温で、夜間は低温になり最高最低温度の起時も異なることが明らかになった。最高表面温度は気温より20〜30分早く出現する。最低温度も気温より早いが表面状態によるばらつきが大きい。表面温度から気温を推定することは森林の方が精度良く推定できる。畑地や水田は表面温度の他に植生に関する変数も入れる必要がある。1日の内で精度良く日平均気温を推定できる時間帯は朝6時前後と夕方18時前後である。特に水田は8〜10時ころの推定は精度が悪い。 ノア衛星通過時の表面温度と最低表面温度の関係については表面温度の低減率で計算する方法と回帰式で計算する方法が有効であることが判明した。低減率は畑地の場合は0.6度/時間、森林は0.7度/時間であった。ランドサット通過時お表面温度と日平均気温の関係については回帰式を用いて、RMSは1.8〜2.1度で推定できることが示された。
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