研究概要 |
ここでいう閉鎖生態系とは、外界と水や空気などガス交換は出来ないが、光や熱などの交換は可能な生態系と定義する。すなわち、物質的には閉鎖されているが、エネルギー的には解放されている生態系のことで、この閉鎖生態系を取り巻く外的環境が変化した場合、あるいは系の内的環境が変化した場合に、閉鎖生態系がどのように反応し、どのようにその恒常性を発揮するかを解析することが本研究の目的であった。 閉鎖生態系は、容積約20リットルのポリカーボネイト製デシケータを3個用いた。これらを温湿度制御された人工気象室内に設置し、メタルハライドランプによる人工照明を施し、光強度は17,000Lux、明期は8時間とした。閉鎖生態系は、酸素濃度で、それぞれ30%、20%、10%区の3つの試験区を設けた。内部の生態系としては、当大学の三四郎池から採取した泥3リットル、市販の砂利1.5kg、さらに市販の水草(ウィロモス、ジャイアント・バリス3株、およびマツモ・アナカリス3株)と体長10〜20mmのレッドテールグリーンシュリンプ3匹をいれて、密封した。 酸素及び炭酸ガスの濃度変化の経時変化を計測し、あらかじめ測定しておいた閉鎖系のリークから、実際の酸素と炭酸ガス濃度変化を求めた。その結果、30%区の酸素濃度は減少し、20%区と10%区は上昇しある一定値に近づくこと、明期と暗期の濃度差が明確で光合成の活動が明らかなこと、炭酸ガスの濃度は減少し全体としては光合成活動が大きいこと等が判明した。 今後長期間の実験にはリークの最小化、センサーの信頼性、循環経路内の水滴の除去等の問題を解決する必要があることが明らかとなった。
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