研究概要 |
閉鎖生態系の性質を解析することを通じて、地球という生きたシステムについて研究することを目的とする。そこに生命が存在するがゆえに、地球自身もまた一つの生きたシステム(地球生命圏、ガイア)といえる。なぜなら、変化する地球外環境に対し、生命圏が地球環境を調節することで、地球を生きている状態に保ってきたと考えられるからである。 ここでいう閉鎖生態系とは、外界と水や空気などガス交換は出来ないが、光や熱などエネルギーの交換は可能な生態系である。すなわち、物質的には閉鎖されているが、エネルギー的には解放されている生態系のことで、この閉鎖生態系を取り巻く外的環境が変化した場合、あるいは系の内的環境が変化した場合に、閉鎖生態系がどのように反応し、どのようにその恒常性を発揮するかを解析することが本研究の目的である。 閉鎖生態系として、新たに容積約20リットルのポリカーボネイト製デシケータ2個を追加した。これらを温湿度制御された人工気象室内に設置し、メタルハライドランプによる人工照明を施し、光強度は17,000Lux、明期は8時間とした。新たなシステムについて、酸素濃度の制御状況をテストした。それぞれ30%、10%区の試験区として、市販の水草を入れて連続実験した。 酸素及び炭酸ガスの濃度変化の経時変化を計測し、あらかじめ測定しておいた閉鎖系のリ-クから、実際の酸素と炭酸ガス濃度変化を求めた。その結果、30%区の酸素濃度は減少し、10%区は上昇しある一定値に近づくこと、明期と暗期の濃度差が明確で光合成の活動が明らかなこと、炭酸ガス濃度は減少し全体としては光合成活動が大きいこと等が判明した。 実験中のリ-クは前回と比較してあまり少なくはなく、これを最小化することが今後の大きな課題であることが判明した。
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