閉鎖生態系の性質を理解することを通じて、地球という生きたシステムについて研究することを目的とする。そこに生命が存在するがゆえに、地球自身もまた一つの生きたシステム(地球生命圏、ガイア)といえる。なぜなら、変化する地球外環境に対して、生命圏が地球環境を調節することで、地球を生きている状態に保ってきたと考えられるからである。 ここでいう閉鎖生態系とは、外界と水や空気などガス交換は出来ないが、光や熱などのエネルギーの交換は可能な生態系である。すなわち、物質的には閉鎖されているが、エネルギー的には解放されている生態系のことで、この閉鎖生態系を取り巻く外的環境が変化した場合、あるいは系の内的環境が変化した場合に、閉鎖生態系がどのように反応し、どのようにその恒常性を発揮するかを解析することが本研究の目的である。 生態系を閉鎖する容器としては容積約20Lのポリカーボネイト製のデシケータを用い、生態系としては土壌、小石、ウィロモス、ジャイアント・バリス、マツモ・アナカリスと体長10〜20mmのレッドテ-ルグリーンシュリンプ3匹を入れた。閉鎖時の初期酸素濃度は10、20、30%試験区でほぼそれに近い10.1、20.2、30.3であった。酸素濃度計による酸素の経時変化とガスクロによる二酸化炭素の測定を行った。全体として84日間の観測では、54日までエビの生存が確認された。ウィロモスは次第に変色し、40日を過ぎては緑色のものは見られなかった。ジャイアント・バリスはかなり生長した。酸素濃度に関しては、10%区の上昇が大きく、20%区においても上昇し、逆に30%区においては減少した。
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