研究課題/領域番号 |
05454107
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
金丸 義敬 岐阜大学, 農学部, 教授 (50111795)
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研究分担者 |
海老名 卓三郎 宮城県立がんセンター研究所, 部長 (60004678)
長岡 利 岐阜大学, 農学部, 助教授 (50202221)
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キーワード | 牛乳 / 免疫グロブリン / 糖タンパク質 / ウィルス中和活性 / ロタウィルス / 機能性食品 |
研究概要 |
交付申請書に記した平成7年度の研究実施計画にしたがって、ロタウィルス免疫ウシ初乳(ロタミルク)、正常ウシ初乳、常乳中の成分分離と中和活性測定を行い、以下の成績を得た。 1.試料の調整: ロタミルクと正常ウシ初乳の乳清からprotein G-カラムによって全IgGを分離し、正常ウシ初乳のIgGはDEAE-カラムによってさらに細分画した。また、限外ろ過とゲルろ過を繰り返し行い、常乳乳清タンパク質から高分子量の糖タンパク質会合体であるF1を得た。 2.初乳IgGの中和活性評価: ヒトロタウィルスWa(血清型1)、KUN(血清型2)、MO(血清型3)、Hochi(血清型4)を用いて、ロタミルクの中和活性(最小阻害濃度約1μg/ml)と正常初乳から分離したIgGの活性とを比較した。DEAEイオン交換カラムから比較的低いイオン強度で溶出する正常初乳のIgG1には、場合によってロタミルクと同様、もしくはそれ以上の高い活性が認められ、普通に飼育されている牛から高活性IgG1抗体を得ることが可能であることが明らかとなった。活性はウィルス株に関わらず高く、またF(ab')_2フラグメントの状態でも完全に保持されること、加熱処理(70℃、30分)に対して耐性を示すことも明かとなった。 3.常乳F1の中和活性評価: 常乳中のきわめて高分子量の糖タンパク質会合体であるF1の中和活性はIgG1抗体の活性に匹敵するものであった(最小阻害濃度は10μg/ml程度)。この活性はウィルス株によらず高く、加熱処理(70℃、30分)の影響を受けないこと、プロテアーゼ消化やノイラミニダーゼ処理によって低下することが明かとなった。他起源のムチン類の活性との比較から、牛乳F1の活性はヒトロタウィルスに特異的に高く、ユニークなものであることが示された。 4.下痢症予防効果:動物感染に十分な量のウィルスを培養出来ず、実験は行えなかった。
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