(1)Heparin-Sepharose4Bにより部分精製した鶏脂肪組織リポプロテインリパーゼ(LPLase)をBALB/cマウスに計5回投与して免疫感作を行い、最終免疫3日後に抗体産生細胞(脾臓細胞)をSamplingした。これをミエローマ(P3x63-Ag.8.653)とポリエチレングリコール法を用いて融合させ、マウス胸腺細胞とHAT培地で共培養し、選択培養を行った。その後、培養上清中の抗体をELISA法により、ハイブリドーマをスクリーニングした。スクリーニングした1506個のハイブリドーマを20%FBSを含むIMDMで培養し、限界希釈とELISAを繰り返した。この操作により8種の細胞株(LPLA)をクローン化した後、SFM無血清培地に馴化させ、大量培養を行いモノクローナル抗体(MoAb)を得た。 (2)作製したMoAbは、IgG_12種、IgG_22種、IgG_31種およびIgM3種であった。ELISA法によるラットLPLaseとの親和性はLPLA-1およびLPLA-8に鶏と同様の親和性が得られたが、その他のMoAbには見られなかった。 (3)鶏LPLase活性阻害試験をin vitroで行ったところ、LPLA-1でMoAb無添加時の約80%まで活性を低下させたが、活性阻害効果は小さく、鶏過剰脂肪蓄積抑制に有効と考えられるMoAbは検出されなかった。現在、新たな8種のLPLAのクローン化に成功しており、LPLaseの活性阻害試験を検討中である。また、LPLA-7は鶏LPLase活性を特異的に活性化させる働きを有しており、鶏LPLase反応の種特異性のタンパク質レベルでの究明に効果を発揮すると考えられる。 (4)MoAbをリガンドとした鶏LPLaseの精製を行った結果、LPLA-4では2.0MNaCl溶出画分のみにLPLase活性が認められ、純度検定を行ったところLPLase蛋白質以外に3種の蛋白質が確認されたが少量であり、Heparin-Sepharose4Bカラムで除去可能であった。すなわち、LPLA-4を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより、鶏脂肪組織LPLaseの大量調整が可能となった。
|