自然の受精では精子が卵子の卵細胞膜に接着・融合することにより卵子の活性化が誘起され発生が進むが、顕微授精ではその刺激を外部から人工的に与える必要がある。そこで本年度の研究では、ウシ卵子の活性化を高率に誘発するため方法として卵子の電気刺激と化学薬剤処理の条件について調べた。その結果、下記の知見が得られた。 1.電気刺激による活性化の時は、刺激の際の媒液として非電解質溶液より電解質溶液を用いたほうが高率に活性化される。 2.種々の化学薬品(エタノール、カルシウムイオノフォア、サイクロヘキシミドの単独あるいは複合処理)の効果を調べた結果、エタノールとサイクロヘキシミドの複合処理がウシ卵子の活性化に最も有効であった。 本年度の研究により、ウシ卵子の高率的な活性化法が確立されたので次年度は実際に精子を卵子に注入した顕微授精卵子にこの活性化法を応用してその体外や体内での発生能を調べる。
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