研究課題/領域番号 |
05454118
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
若杉 昇 名古屋大学, 農学部, 教授 (00023490)
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研究分担者 |
山縣 高宏 名古屋大学, 農学部, 助手 (50242847)
並河 鷹夫 名古屋大学, 農学部, 教授 (70111838)
島田 清司 名古屋大学, 農学部, 教授 (40065579)
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キーワード | 鳥類 / 性分化 / 性染色体 / 生殖腺 / 性ステロイドホルモン / アロマターゼ |
研究概要 |
本研究では鳥類の性分化を統御している遺伝的因子について明らかにするため、(1)性分化を誘導する遺伝子が性染色体上にあるかどうかの検索、(2)性分化に関するステロイド代謝酵素やホルモンの発現機構の分子遺伝学的な検索、(3)鳥類の雌において片側生殖腺のみ発達するメカニズムについての発生遺伝学的調査を行ってきた。(1)についてはこれまでの研究でこれといった成果が得られておらず、検索方法を再検討する必要が認められた。(2)、(3)については以下の研究成果が得られた。 ニワトリ生殖腺におけるアロマターゼの発現量をmRNAの定量によって測定したところ、10日胚から7日齡ヒナにおいて左側卵巣で高く右側卵巣及び精巣で低かった。これはエステラジオールの発現量と一致し、性ステロイドと酵素活性の変動がmRNA発現のレベルで調節されていることが示唆された。また孵卵前期胚のmRNAの発現をin situハイブリダイゼーション法で検索した結果、アロマターゼの発現は孵卵6日ごろより始まることが示され、遺伝的雌性が生殖腺の卵巣への分化を決定づけるのがこの時期であることが予想された。 両側卵管の発達するニワトリ系統を用いて発生・成長段階を追って観察した結果からは、右卵管の発達程度には系統内でバリエーションがあり、表現型のわからない雄親の持つ遺伝的要因が高いことが示された。また他系統との交配実験からこの形質が劣化遺伝子に支配されていることが予測された。 今後の展開として、ステロイドホルモン合成酵素についてはそのインヒビター投与による性分化への影響を詳細に調査する、両側卵管の発達するニワトリ系統についてはその遺伝解析を進めて形質を固定した上で、他のニワトリとの比較から右側生殖腺の発達・退化のメカニズムについて検討していく予定である。
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