研究概要 |
ネコおよびイヌの一部のQおよびRバンド染色体の画像解析を行い,各バンドの相対的距離を決定した。また,ネコ正常線維芽細胞における遺伝型および通常型の染色体脆弱(不安定)部位を多数検出した。 臨床材料より乳癌培養細胞株を3株,正常線維芽細胞株を5株樹立し,腫瘍およびその培養細胞株の染色体分析により腫瘍特異的な染色体変化や切断点の解析を行なった。この結果,それぞれに特有の染色体異常及びその脆弱部位との関連性があきらかとなった。 増幅蛍光in situ hybridizationによるイヌおよびネコの乳癌関連遺伝子のマッピングを行うために,まず,ネコゲノムライブラリーが未だ得られていなかったので,正常ネコ肝組織から抽出したゲノムDNAを用いて,ネコゲノムライブラリーを作製した。次に,最近,ヒト乳腺腫瘍の腫瘍抑制遺伝子の可能性が注目されているプロヒビチンの動物種間で相同性が極めて高い塩基配列をプライマーとしてPCR法によりcDNAの一部を増幅することを試みた。正常ネコ肝組織から得られたmRNAより調整したcDNAを鋳型として増幅した。その結果,443塩基対のcDNAフラグメントが得られたので,その塩基配列を決定した。ヒト及びラットのプロヒビチンcDNAと比較すると,核酸レベルでそれぞれ91.0%及び87.1%,アミノ酸レベルでそれぞれ95.9%及び95.2%と高い相同性を示した。このプロヒビチンcDNAの一部をプローブとして,ゲノムライブラリーをスクリーニングしたところ,複数の陽性クローンを得ることが出来た。これをプローブとして,マッピングを行う予定である。 ネコ乳癌DNAを用いて,v‐erb B,ヒトc‐erb B2 およびマウスc‐mycプローブを用いてsouthern解析を行い,明らかな異常は検出されなかったが,erb BについてはBam H1断片長の多形が明らかとなった。
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