研究課題
平成2年度までの研究で確立したモノクローナル抗体について、セルアナライザーで分析したところ、凍結切片法でスクリーニングした結果と矛盾していることが判明した。凍結切片法によるスクリーニング方法の問題点として、細胞表面抗原と細胞内抗原の識別が困難な点がある。そこで、急遽細胞融合法を行い、スクリーニングにはセルアナライザーを用いモノクローナル抗体の作製を再度試みた。この結果、11種のモノクロナル抗体を得た。これらのモノクローナル抗体について犬末梢血リンパ球を対象にしてセルアナライザーを用いて分析を行ったところ、末梢血リンパ球において、約30%陽性を示す抗体2種、約70%陽性を示す抗体4種、約20%陽性を示す抗体2種、50%前後の陽性を示す抗体3種が認められた。現在免疫沈降法で特異抗原を回収したのち、ウエスタンブロッテイング法による分析で認識している抗原の分子量について検索中である。まだ、セルソーターによって単離した陽性細胞について機能を検討する実験が残っているが、これらのなかに目的遂行に必要な抗体が存在すると考えられる。すなわち、T細胞全般(CD2)、ヘルパー・インデユサーT細胞(CD4)、サプレッサー・キラーT細胞(CD8)等に対する抗体が本研究では重要である。一方、米国においてMoore博士らが犬のT細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体を確立しており、分与の申込を行って了承を得ている。以上の状況により、全体の進行が遅れているが、実験的な免疫亢進状態、免疫寛容状態の作出条件について検討中であり、モノクローナル抗体の確立あるいは入手次第、自己免疫病態下におけるT細胞の動態について検討可能と考えている。
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