研究課題/領域番号 |
05454126
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
山田 隆紹 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (20126460)
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研究分担者 |
土屋 亮 麻布大学, 獣医学部, 講師 (30188586)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | Dog / T-cell / Surface antigen / Monoclonal antibody / Auto-immune disease / CD5 / CD4 / CD8 / immunoprecipitation / function |
研究概要 |
犬の自己己免疫疾患の研究にはT細胞を認識するモノクローナル抗体が必要不可欠であるが、利用できる抗体が非常に少ないため、これらに必要なモノクローナル抗体の作製から開始した。 犬胸腺細胞を免疫したマウスの脾細胞とマウス骨髄腫細胞(P3X63-Ag.653)をポリエチェングリコール法により細胞融合を行い、スクリーニング法にはセルアナライザーを用い、11種のハイブリドーマを得た。このなかの3種のハイブリドーマ(7F1、6H6、8C12)の分泌する抗体が認識する抗原について性状を明らかにした。免疫沈降法、抗体に陽性に反応する細胞の機能分析、血液および組織における陽性細胞の分布について検索した。モノクローナル抗体(MAb)7F1、6H6、8C12はマウス免疫グロブリンのアイソタイプはそれぞれIgG1(k)、IgG3(k)、IgG1(k)であった。MAb7F1および6H6は免疫沈降法における還元条件下の分析で、末梢血リンパ球表面の72kDaおよび55kDaのタンパクをそれぞれ認識していた。MAb8C12は33kDaならびに38kDaの2種の異なった分子量のタンパクを認識していた。免疫組織科学的検索で、7F1陽性細胞は胸腺の髄質に多く分布し、これに対し6H6ならびに8C12陽性細胞は比較的皮質に多く認められた。セルソーターを用いてソ-トした細胞の機能分析では、7F1あるいは8C12陽性細胞群では、各々の陰性群に比較して分裂増殖能が強く観察され、一方、8C12陽性細胞群では陰性細胞群に比べ低い分裂増殖能であった。各々の抗体の陽性細胞群と陰性細胞群の培養上清について、CTLL-2細胞を用いた生物学的アッセイ法でIL-2活性を調べたところ、7F1あるいは6H6陽性細胞群は各々の陰性細胞群に比較してIL-2活性が高く認められた。これに対して8C12陽性細胞群では陰性細胞群に比較してIL-2活性が低かった。末梢血の単核球についてセルアナライザーにより分析したところ、7F1(63.7【.+-。】2.9%)、6H6(42.5【.+-。】3.6%)、8C12(14.5【.+-。】1.0%)の如く、それぞれに陽性を示した。以上のことから、MAb7F1、6H6および8C12はそれぞれCD5、CD4、CD8をそれぞれ認識していると結論した。残り8種のハイブリドーマが分泌するMAbについても検討中であり、さらに有用な抗体が得られるものと期待される。 これらの抗体は犬リンパ球表面抗原の検索、免疫組織化学、細胞機能の検索に利用可能である。現在、犬における経口免疫寛容誘導の研究、自己免疫疾患症例のリンパ球分析、消化管や呼吸器粘膜の免疫組織学的検索の研究を進めている。
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