研究課題/領域番号 |
05454128
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
沖野 啓子 (森島 啓子) 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 教授 (70000247)
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研究分担者 |
米沢 勝衛 京都産業大学, 工学部, 教授 (90026542)
佐藤 洋一郎 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助手 (20145113)
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キーワード | 植物遺伝資源 / 野性イネ / 生態遺伝学 / 環境破壊 / 遺伝的多様性 / 集団の絶滅 / 環境保全 |
研究概要 |
本研究の目的は、第1に私共がタイ国で10年以上にわたって継続してきた野性イネの生態遺伝学的調査結果を総括的に解析すること、第2にその解析結果や新しく実験条件下で行う環境破壊模擬実験の結果および理論的研究に基づいて、現在危機に頻している植物資源の自生地保存の方策を生態遺伝学的立場から考察しようとするものである。 1.バンコック郊外に設定した7ケ所の野性イネ定点観測地点で蓄積してきた、野性イネ集団の特性調査、および生育地の環境条件に関するデータを解析した。一年生型と多年生型の2つの生態型に分化している野性イネのうち、一年生型の方が、集団内の方形区単位でみた絶滅および移住は多年生型より激しく、また集団単位でも多年生型より急速に絶滅していうことが明らかになった。環境変化と遺伝子多様度との関係を探るため、同じ場所で採種した10年前と最近の集団のアイソザイム変異の比較を現在行っている。 2.野性イネと栽培イネとの雑種後代集団を、異なる環境条件で栽培、集団採種をくり返して、環境攪乱が野性イネ特異的な遺伝子や特性にどういう選択圧として働くかを調べる実験を始め、3世代後に比較を行う予定である。非破壊による植物群落の生長を調査できるプラントキャノピーアナライザーを購入したが、夏期の生育期に間に合わず、試験的に使用するにとどまった。次年度から本格的に使用する予定である。 3.理論的研究としては、集団内の遺伝子頻度の分布パタンが植物の殖律、移住率などによってどう影響されるかをシュミレーションによって調べた。集団の内部と周縁部とで遺伝子頻度や多様性に偏りが生ずる場合があることが明らかになった。
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