1)イネ萎縮ウイルスゲノムを、電気泳動の移動度により識別できる北大株とAI-1株を用いて、媒介昆虫ツマグロヨコバイの培養細胞に直接導入して複製の有無を調べた。培養細胞に予めヘルパーウイルスとしてAI-1株を感染させておき、この細胞に北大株の核酸をトランスフェクション法で直接導入した。導入後、細胞よりウイルスゲノム核酸を抽出し、電気泳動を行なった。北大株の核酸の複製が確認できなかった。 2)核酸のみでは、複製能力を持たないことが明らかになったので、複製能力を持つ最小単位のゲノム-蛋白質複合体の同定を試みた。純化ウイルス粒子をマグネシウム処理後、塩化セシウム平衡密度度勾配遠心すると、RNAポリメラーゼ活性を有する亜粒子が得られた。この粒子は、ゲノム核酸と3種の構造蛋白質より構成されていることを明らかにした。今後この複合体の再構成の条件を検討する。 3)ヒメトビウンカの培養細胞株を既に43代継代した。しかし、細胞の成育は速くは無いので、更に培養条件の検討を行なっている。
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