1.骨減少刺激による骨吸収と骨形成の変化 骨量は、骨の加重除去により減少するといわれる。骨の不用性萎縮もこれにはいる。マウスを用いて、生後3週で座骨神経と大腿神経を切断し、下肢の麻痺をおこさせ、大腿骨の骨構築の変化を走査電子顕微鏡で観察した。大腿骨は、術後10日から2週にかけて、骨梁が著しく減少した。同時に皮質骨内面は骨増生反応を示した。これが、生後4週になると、骨は全体に細いが、骨梁は再び正常と同様の構築を示すようになった。 2.エストロゲン投与による骨吸収と骨形成の早期変化 生後4週のマウスに、1mgエストラジオール結晶オリーブ油浮遊液を注射した。注射後1週で、大腿骨の骨梁が著しい密度増加を示したが、同時に骨梁部は全体に短縮していた。皮質骨内面は骨形成反応と骨吸収反応の増加を示した。 3.上記の骨減少刺激、骨増生刺激のどちらも、骨吸収反応と骨形成反応の両方の反応亢進を示した。すなわち、どちらも両方の反応が亢進し、さらにそのバランスが一方に傾くことにより、骨減少あるいは骨増生が起こることを知った。 4.破骨細胞と骨芽細胞の立体形態をさらに詳細に観察できた。骨芽細胞は突起を伸ばしてその方向に骨基質の線維を造ることを知った。また、加重骨では、骨芽細胞は骨細胞からの情報により線維の走行を決めているようであった。 5.骨肉腫では、正常と異なる種々の骨を形成していた。骨基質の線維は短く、走行は、正常に比較してランダムとなっていた。破骨細胞起源が問題となる骨巨細胞腫では、骨破壊は正常破骨細胞機能の亢進によるとみなされた。
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