研究課題/領域番号 |
05454135
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
井上 貴央 鳥取大学, 医学部, 教授 (20116312)
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研究分担者 |
満嶋 明 鳥取大学, 医学部, 助手 (80116376)
福留 初子 鳥取大学, 医学部, 講師 (00032243)
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キーワード | 上皮細胞 / 基底膜 / 結合組織消化法 / 走査型電子顕微鏡 |
研究概要 |
膀胱移行上皮、角膜上皮、固有胃腺上皮、口蓋重層扁平上皮、皮膚と毛に対しアルカリ消化法をほどこし、上皮を剥離してその基底側を走査電顕にて観察した。また、加令ラット角膜上皮の形態変化、ヒト口腔内重層扁平上皮癌についても同様の試料を作製し、基底面を観察した。上皮下に血管網が発達する膀胱移行上皮においては、血管の圧痕が上皮基底面に観察され、毛細血管と上皮細胞の密接な関係が示された。また、上皮剥離によって上皮下毛細血管の新生像が観察され、今回の観察方法は血管新生像を直視下に観察するうえで有効であることがわかり、今後の課題としたい。角膜上皮基底側では豊富な神経線維が観察され、従来の神経線維の走行モデルを修正する所見が得られた。また、加令にともなって基底側にCa沈着にともなう上皮基底側細胞膜を三次元的にとらえることに成功した。ヒトの癌組識に応用した場合、初期の上皮内癌が基底側を貫通して上皮下に浸潤していく様子を三次元的にとらえることができ、従来、光顕標本では基底膜を貫いているかどうかの判定が困難であった初期癌の浸潤判定に応用できる可能性が開かれた。皮膚の基底側では毛根を構成する細胞とそれに伴う神経繊維や神経叢を三次元的に観察することが出来た。以上のように各種の上皮細胞の基底側を広範囲に走査電顕で観察できたわけであるが、従来から用いられてきている透過型電顕法との対比が不可欠である。このため、このたび導入した超ミクロトームによって切片を作製し、透過型電子顕微鏡を用いて確認する作製をおこなった。その結果、アルカリを用いた加水分解という基底板消化法を用いているにもかかわらず、細胞の形態はよく保たれており、今回観察した走査電顕像が真の姿を反映していることが裏付けられた。
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