研究課題/領域番号 |
05454162
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医化学一般
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
大野 茂男 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10142027)
|
研究分担者 |
長田 真一 横浜市立大学, 医学部, 助手 (00244484)
水野 恵子 横浜市立大学, 医学部, 助手 (90221803)
平井 秀一 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80228759)
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1994
|
キーワード | プロテインキナーゼC / PKC関連酵素 / ホルボールエステル / 転写活性化 / キナーゼ / ジアシルグリセロール / TPA / TPA-response element |
研究概要 |
nPKCδのキナーゼノックアウト型の点変異体が、nPKCδを介するTRE活性化能を特異的に抑制することを見いだした。この抑制効果が活性型nPKCδに対しても見られ事は、この抑制作用がPKCの標的蛋白質の競合に起因することを示唆している。すなわちnPKCδはそれに結合する蛋白質を介してTREを活性化している可能性が考えられた。一方、PKCの基質蛋白質であるMARCKSと種々のPKC分子種との試験管内でのリン酸化反応の速度論的な解析から、MARCKS蛋白質はいくつかのPKC分子種に極めて強い相互作用を示し、そのリン酸化の効率が極めて低いことを見いだした。実際、MARCKSはPKCのいくつかの分子種に試験管内で結合することも見いだした。以上の事実はPKCとその生理的な基質蛋白質との結合を利用して未知の基質蛋白質(標的)を単離、同定することが化能であることを示唆している。そこで、精製した組換え型nPKCδを放射標識し、これをプローブとしてcDNA発現ライブラリーをスクリーニングした。約20個のPKC結合蛋白質候補のcDNAを得、この中にはMARCKSが含まれていたが、それ以外は全て新規の蛋白質であった。得られた結合蛋白質を大腸菌で発現させ、種々のPKC分子種に対する結合を解析すると、多くの蛋白は多かれ少なかれ複数のPKC分子種に結合するが、その度合が分子種により大きく異なることが明かとなった。 PKCの具体的な作用を知る為にはその直接の標的蛋白質を同定することが必須である。PKCは試験管内で種々の蛋白質をリン酸化することが示されているが、その生理的な意義は多くの場合不明である。PKC結合蛋白質に注目した解析は、この様な状況を打開するための一つの有力な方法であると考えている。今回得られた結合蛋白質の生理機能を一つ一つ調べる事により、今後この分野に大きな進展の見られる事が期待される。特に、TRE転写活性化能、DNA合成促進能、抑制能、細胞死抑制能、更に細胞骨格制御等について、上述の新規蛋白質の作用を検討する事を予定している。
|