研究分担者 |
梶山 泰生 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 生命情報研究部門, 研究員 (70250214)
笠原 浩二 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 生命情報研究部門, 研究員 (60250213)
山岡 和子 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 生命情報研究部門, 研究員 (00124438)
渡辺 由美子 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 生命情報研究部門, 研究員 (90250216)
佐内 豊 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 生命情報研究部門, 研究員 (40150289)
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研究概要 |
[1]シアル酸転移酵素の発現調節:ヒトGD3合成酵素cDNAのクローニングとその性状 セルソーターを用いた発現クローニング法により、GD3合成酵素(ST-II,CMP-NeuAc:GM3 α2,8-sialyltransferase)cDNAを単離した。このcDNAがコードするたんぱく質(341アミノ酸、分子量38,838Da)は、N-末端側に膜貫通ドメインと予想される単一の疎水性領域が存在する、いわゆる2型膜たんぱく質に属していた。得られたcDNAをCOS細胞で発現させて得た酵素たんぱく質の基質特異性を試験管内で調べたところ、従来Sialyltransferase-V(ST-V)により合成されると考えられていたGD1c,GT1a,GQ1bをも合成できることがわかった。この結果は、これまで予想されていたガングリオシド生合成におけるa-系列ガングリオシドとb-系列ガングリオシドの振りわけにGD3合成酵素が細胞内で実際に関与することを示している。 [2]細胞増殖制御における糖鎖の役割:ラット肝細胞の成熟過程で一過性に出現するGM3結合たんぱく質の同定:私たちはすでにラット肝臓細胞の細胞接触に伴う増殖抑制にガラクトースを末端にもつ細胞膜糖鎖が関与することを見出してきた。その研究の過程で、肝細胞を用いた固相結合実験から、肝臓の特定の成熟期(生後24日付近)に一過性に、肝細胞がGM3と結合することを見出した。結合に関する糖鎖特異性を検討した結果、GM3と最も強く結合し、GM2、GD1aと中程度結合した。GD3、GD1bなど類縁体とはほとんど結合しないため、シアル酸COOH基に起因する非特異的なものではなく、シアロ糖鎖特異的な結合によると判断した。
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