研究分担者 |
納 光弘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10041435)
亀山 正樹 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60150059)
小林 圭子 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (70108869)
浦本 裕之 鹿児島大学, 医学部, 助手 (50253860)
友村 美根子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (30217559)
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研究概要 |
juvenile visceral steatosis(jvs)マウスは1988年に発見された,脂肪肝に高アンモニア血症と低血糖を伴う劣性遺伝形式を示す遺伝病動物である.我々は尿素サイクル酵素遺伝子の転写の抑制が高アンモニア血症の原因であること,上記主症状の他,心肥大を来すこと,さらにjvsマウスがカルニチン欠乏にあることを明らかにし,jvsマウスの自然発症カルニチン欠乏動物としての重要性を確立した.平成5年度の研究によって、我々が明らかにしたのは次の実験事実である.1)尿素サイクル酵素発現に関与すると考えられるグルコルチコイドによる転写活性化機構について検討し,グルココルチコイド系はレセプターが核内に増加しているなど,亢進しているが,グルココルチコイド系を抑制すると報告されたAP-1活性が上昇していることをゲルシフト解析から見いだした.またその上昇はカルニチン投与で抑制されることを明らかにした.2)脂肪肝以外に特に著しい症状のない,生後10日目のjvsマウスにおいても心肥大が存在すること,肥大は心室に限局していること,および組織学的,ならびに生化学的な特徴を明らかにした.遺伝子発現レベルの解析からは,atrial natriuretic factor(ANF)mRNAは対照では心房のみに認められるが,jvsマウスでは心室にも,さらに肥大が明らかとなるより以前の5〜7日令でも増加していることを見いだした.3)jvsマウスの病因解析の一環として,腎臓のカルニチン輸送活性の動力学的な解析を行い,欠損しているのは,カルニチン類似体で強く阻害されるカルニチン高親和性部位を含む輸送系であることを明らかにした.
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