研究分担者 |
納 光弘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10041435)
亀山 正樹 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60150059)
小林 圭子 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (70108869)
堀内 正久 鹿児島大学, 医学部, 助手 (50264403)
友村 美根子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (30217559)
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研究概要 |
カルニチン欠乏JVSマウスの,肝臓における遺伝子発現異常の機構と心肥大の発症機構について研究を進めた。 本疾患モデルマウスは,カルニチンの腎臓での再吸収機構に関与する遺伝子異常によって発症するが,肝臓では尿素サイクル酵素遺伝子の転写が抑制されている。その機構には,脂肪酸の代謝障害が関与する。初代培養肝細胞に長鎖不飽和脂肪酸を加えると,グルココルチコイドによる,尿素サイクル酵素を初めとする肝臓特異的な酵素遺伝子の転写促進効果が抑制される。この抑制はカルニチンを加え,脂肪酸の代謝を促進すると減弱し,サルチル酸やプロピオン酸などを加え,CoA利用の段階での競合作用で脂肪酸アシルCoAへの変換を抑制すると増強されることから,脂肪酸自体による直接作用である可能性を示した。一方,グルココルチコイドによる転写促進作用の機構が判明していない尿素サイクル酵素,カルバミルリン酸合成酵素とアルギニノコハク酸合成酵素の遺伝子5′上流をクローン化し,各種のシスエレメントを明らかにするとともに,CATアッセイでプロモーター部位の決定を行った。 心肥大については,これまでに他の発症機構による心肥大に観察された遺伝子発現異常について検討して来たが,7年度はカルニチン欠乏による心肥大にカテコールアミン系の関与があるか,あるとすればどの程度かについて検討した。肥大心筋のβレセプター活性の減少を見いだしたが,mRNAは正常であった。α-メチルチロシンを用いて,心筋ノルアドレナリンの代謝回転速度を測定し,JVSマウスでは代謝が亢進していること,カテコールアミン代謝阻害剤で心肥大が部分的にしか抑制されないこと,すなわちカテコールアミンを経由しない心肥大の機構が存在する可能性を示した。
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