研究概要 |
申請者は、最近、キナーゼIIのcDNAや遺伝子のクローニングを行い、キナーゼIIの関与する神経情報伝達の調節、神経細胞の分化、シナプス形成と可塑性、遺伝子発現の調節について研究を進めており、(i)cDNAの発現によるキナーゼIIαおよびβアイソフォームの酵素学的性質、(ii)電子顕微鏡によるキナーゼIIの立体構造、(iii)神経芽細胞における形態形成における役割,(IV)キナーゼIIの発達過程における発現、(V)ショウジョウバエをモデル動物とし、キナーゼII遺伝子とcDNAの構造および発現、などを明らかにした。キナーゼIIの作用をさらに深く解析することにより、神経情報伝達の分子機構を解明しようとしている。 本研究では、(i)キナーゼIIのα分子とβ分子の機能的・構造的差異、脳内分布と発達過程の違い、(ii)海馬の初代培養細胞におけるキナーゼIIの発現調節、(iii)キナーゼII遺伝子の構造、(iv)PSDキナーゼIIの活性化、(V)EC細胞の分化におけるキナーゼIIの役割などについて興味深い結果が得られた。さらに、さらに、キナーゼIIのα分子とβ分子の機能的・構造的差位、脳内分布と発達過程の違いを勢力的に解明し、キナーゼIIは時間的・空間的にも酵素タンパク質量の調節がなされていることを明らかにした。また、2次元電気泳動法により、キナーゼIIの基質タンパク質の発現を解析することにより、多くの基質タンパク質が生後の発達過程で調節されることを明らかにした。このように、キナーゼIIの作用点を解析することによりこれらの遺伝子産物のcDNAを単離する足掛りが得られた。
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