研究課題/領域番号 |
05454175
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中沼 安二 金沢大学, 医学部, 教授 (10115256)
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研究分担者 |
寺崎 修一 金沢大学, 医学部, 助手 (10251943)
細 正博 金沢大学, 医学部, 助手 (20219182)
斉藤 勝彦 金沢大学, 医学部, 講師 (10205635)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 胆管消失症候群 / 原発生胆汁性肝硬変 / 原発性硬化性胆管炎 / 胆管上皮 / 細胞接着分子 / サイトカイン / 細胞培養 / 免疫病理 |
研究概要 |
胆管系の代表的疾患群である胆管消失症候群の病態と病因を免疫病理学的に検討した。1.わが国での胆管消失症候群として、原発性胆汁性肝硬変が最も多く、次いで原発性硬化性胆管炎で、骨髄移植例に伴う移植片対宿主反応による胆管消失例や薬剤性胆管消失例もみられた。2.原発性胆汁性肝硬変の自己抗原はミトコンドリア内膜上のピルビン酸脱水素酵素のE2成分である。この酵素に対するモノクローナル抗体で原発性胆汁性肝硬変患者の肝臓を免疫染色した結果、障害胆管ではミトコンドリア以外の細胞質が陽性となり、molecular mimicryが病因として示唆された。3.肝内胆管に分布する胆管周囲脈管叢の病理像を検討した。原発性胆汁性肝硬変では、免疫反応に伴った内皮細胞の変化がみられた。原発性硬化性胆管炎では、血管叢に明かな消失があり、循環障害が成因の一部と考えられた。4.原発性胆汁性肝硬変の障害胆管とその周囲の微小環境を検討した結果、ICAM-1やVCAM-1等の細胞接着因子の異常発現が胆管周囲の小血管や胆管上皮にみられ、CD4、CD8陽性のeffector lymphocytesの高度浸潤がみられた。胆管上皮の障害とその微小環境の異常が胆管障害に重要と考えられた。5.マウスの肝内胆管上皮の区分別培養に成功した。胆管樹を作成し、胆管区分を実体顕微鏡下で細切し、コラーゲンゲル内および上で培養し、胆管上皮細胞の純化に成功した。次に、培地中にIFN-γ、TNF-α等のサイトカインを添加し、胆管上皮にHLA-DRやHLA-A,B,C等の抗原が発現されることを示した。6.ANIT等の胆管障害剤と免疫操作の組み合わせで実験的胆管炎を作成し、胆管上皮の壊死とアポトーシスが種々の割合でみられた。ヒトの胆管消失症候群でも壊死+アポトーシスの所見がみられ、この動物のモデルがヒトの胆管消失症候群の病態解明に応用出来ると期待された。
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