1)マウスメラノーマB16株のnm23低発現性高転移性株FE7にヒトnm23-H1cDNA、nm23-H2cDNA及びその両者を導入した。いずれの細胞株も牛胎児血清高濃度(10%)及び低濃度(3%)でin vitro細胞増殖性の変化を示さなかった。さらにin vivoにおいてこれらの細胞をC57BL/6マウスに注入し、転移性の変化を観察したが、明確な変化を示さなかった。 2)同マウスメラノーマ株FE7に、マウスnm23-M1cDNA及びnm23-M2cDNAの両方を導入した細胞株はin vitrにおける細胞増殖性に変化は認められなかったが、in vivoにおいてはcDNA非導入株に比して明らかな転移性の抑制を示した。 3)ヒト及びマウスnm23の各々のisotypeは、それらの分子の細胞表面における発現に関わりなく、調べた限の血液細胞及び非血液細胞株の細胞内で産生されていた。また、それらの細胞培養液中にも認められた。しかしながら、ヒトnm23cDNAを導入したマウス細胞株においては、ヒトnm23分子はマウス細胞株に存在するマウスnm23分子とpolymerを形成しなかった。このことは、nm23cDNAをFE7に導入した際、ヒトcDNAでは転移性の抑制が認められず、マウスcDNAでは転移性の抑制が認められたことに関係すると思われる。
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