マウスメラノーマB16株のnm23低発現性高転移性株FE7にマウスnm23-M1cDNAまたはnm23-M2cDNAを各々単独で導入した細胞株及び両cDNAを合わせて導入した細胞株を作成した。3者共にin vitroにおける細胞増殖性およびin vivoにおける腫瘍増殖性に相違は認められなかった。nm23cDNA導入細胞株をC57BL/6マウスに静脈注射を行い肺への転移性を測定したところ、2つのアイソタイプのcDNA単独又は両者を導入した細胞のいずれもが転移性の減少を示した。2つのアイソタイプの相加的効果は認められなかった。同様にFE7にヒトnm23-H1cDNA、nm23-H2cDNA及びその両者を導入した。いずれの細胞株もin vitro細胞増殖性を示さず、また、転移性の変化も示さなかった。 nm23分子の118番ヒスチジンをシステインに改変したcDNAは、大腸菌でNDPキナーゼ活性を消失していた。本cDNAをFE7に導入した際には、選択性培養液中に生存するクローンは全く得られず、NDPキナーゼの細胞増殖における重要性が示唆された。また、nm23M1又はM2分子に対するモノクローナル抗体のin vivo投与は、FE7の転移性に影響を与えなかった。nm23H2cDNAを導入したトランジェニックマウスを作成した。現在、得られたマウスにおけるnm23H2の発現の詳細な解析を進めている。更にnm23M2遺伝子のノックアウトマウスを作成した。得られたホモマウスはnm23M2の発現を完全に消失していた。
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