研究概要 |
プラスミドRts1のDNA複製開始蛋白質RepA(構成アミノ酸数288)の機能的ドメインを解明することを目的として、ファージP1の複製開始蛋白質(構成アミノ酸数286)との間でキメラ蛋白質RepAXを作成し、機能解析を行った。今回得たRepAXはN末端側がRts1由来、C末端側はP1由来で、RepAX_<12>(257:30),RepAX_<13>(206:81),RepAX_<14>(176:111),RepAX_<15>(145:142),RepAX_<16>(129:158),RepAX_<17>(114:173)の6種類であった。 A)ori(Rts1)活性化能:RepA_<WT>のほか、RepAX_<12>,RepAX_<13>がtransに働くことにより、polA^-宿主菌内でのPBR322:ori(Rts1)の複製を可能にした。従ってRts1-RepAのN末端側206AA領域に、ori(Rts1)活性化能が局在することが判った。一方ori(P1)に対しては、どのキメラRepAも活性を示さなかった。 B)親プラスミドに対する複製阻害能:RepA_<WT>,RepAX_<12>のほか、ori(Rts1)活性化能のないRepAX_<15>,RepAX_<16>,RepAX_<17>もミニRts1プラスミドの複製を阻害した。またミニP1プラスミドに対しては、RepAX_<15>のみが複製を阻害した。このことは、RepA蛋白質の負の複製調節機能を解明する上で重要な示唆を与えるものである。 C)現在、RepAX蛋白質のori(Rts1),ori(P1)-DNAに対するin vitro結合能を解析中である。
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