抗原特異的免疫寛容の人為的導入法に関する解析

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05454211
• 研究機関: 順天堂大学
• 研究代表者: 八木田 秀雄 順天堂大学, 医学部, 助教授 (30182306)
• キーワード: トレランス / 移植 / 自己免疫疾患 / LFA-1 / ICAM-1 / VLA-4 / VCAM-1 / CD2 / CD48 / CD28 / CD80,CD86

研究概要

(1)抗LFA-1/ICAM-1抗体の投与により、同種移植小腸に対する寛容の導入が可能なことが明らかになった。
(2)抗LFA-1/ICAM-1抗体の投与により導入された同種移植心に対する寛容においては、アロクラスIIに対する反応性は保持されているが、アロクラスI反応性T細胞が不活化されているため、クラスIのみを発現している同種移植心の拒絶が起こらないことが明らかとなった。
(3)抗CD2/CD48抗体の投与により導入された同種移植心に対する寛容においては、アロクラスII反応性T細胞が産生するリンホカインにTh2型への偏りが認められ、これらの抑制性サイトカインによりアロクラスI反応性CTLの誘導が阻害されていることが明らかとなった。
(4)マウスB7(B7-1)及びB70(B7-2)に対する単クローン抗体の作製に成功し、同種移植心に対する寛容の導入にはこの両者の抗体が必要なことを明らかにした。
(5)若年期に短期間の抗LFA-1/ICAM-1抗体の投与により、NODマウスにおける自己免疫性糖尿病の発症が永続的に阻止されることを見い出した。
(6)ラットのコラーゲン関接炎の系で、抗LFA-1/ICAM-1抗体の投与によりコラーゲンに対する寛容が成立し、永続的に発症が阻止されることが示された。

研究成果

• [文献書誌] Yagita,H.: "Fas-mediated cytotoxicity-A new immunoregulatory and pathogenic function of Th1 CD4^+ T cells." Immunol.Rev.146. in press (1995)
• [文献書誌] Inaba,K.: "The tissue distribution of the B7-2 costimulator in mice:abundant expression on dendritic cells in situ and durig maturation in vitro." J.Exp.Med.180. 1849-1860 (1994)
• [文献書誌] Isobe,M.: "Immunosuppression to cardiac allografts and soluble antigens by anti-VCAM-1 and anti-VLA-4 monoclonal antibodies." J.Immunol.153. 5810-5818 (1994)
• [文献書誌] Hasegawa,Y.: "Prevention of autoimmune insulin-dependent diabetes in non-obese diabetic mice by anti-LFA-1 and anti-ICAM-1 mAb." Int.Immunol:. 6. 831-838 (1994)
• [文献書誌] Chavin,K.D.: "Anti-CD2 monoclonal antibodies suppress cytotoxic lymphocyte activity by the generation of Th2 suppressor cells and receptor blockade." J.Immunol.152. 3729-3739 (1994)
• [文献書誌] Qin,L.: "Anti-CD2 receptor and anti-CD2 ligand(CD48)antibodies synergize to prolong" J.Exp.Med.179. 341-346 (1994)