研究課題/領域番号 |
05454212
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
黒沢 良和 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (10109259)
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研究分担者 |
岡村 和彦 藤田保健衛生大学短期大学, 助手 (60132255)
橋本 敬一郎 藤田保健衛生大学, 総医研, 講師 (70192268)
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キーワード | MHC遺伝子 / MHCクラスI分子 / 免疫の系統発生 / MR1遺伝子 / PCR / 遺伝子ファミリー |
研究概要 |
免疫応答系を構成する主要分子である主要組織適合抗原複合体(MHC)について次のような知見を得た。 (1)最下等脊椎動物である軟骨魚に属するサメを用いてMHCクラスI及びクラスII様遺伝子を数種単離して解析した。1)MHCクラスII分子の中に腎臓で特異的に発現されるものが存在する。2)アミノ酸配列上はクラスIIよりはクラスIにより近い性質を持つが細胞外ドメインの数としては2個(クラスII型)であるものが存在する。3)細胞外ドメインが3個である典型的なアミノ酸配列の異なるMHC分子が少なくとも数種類存在する。以上の知見は軟骨魚の段階でMHCクラスI,クラスIIの分岐は既に起こっているが細胞外ドメインが2個から3個に進化したその途上のものが軟骨魚段階で残っていること、更に典型的な免疫系以外でもMHC様分子が機能している可能性を示唆している。 (2)軟骨魚のMHCクラスI遺伝子の解析からMHCクラスI分子は従来考えられているより遙に多数、多種類の遺伝子群から構成されている可能性が示され、哺乳類(ヒト及びマウス)についても検討を加えた。その結果、MHC遺伝子座(ヒト染色体6)とは異なる位置にコードされたMHCクラスI類似遺伝子が複数個未同定のまま残されていることを見い出した。その中の一つMR1について詳細に解析した結果、HLAと40-50%のアミノ酸配列の相同性を有し、ヒト染色体1q25に位置することがわかった。この結果はMHCクラスI遺伝子は従来解析されているより巨大な遺伝子群よりなる可能性を示し、我々の結果はその一端を捕えたものである。
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