研究課題/領域番号 |
05454213
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
長田 重一 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究部長 (70114428)
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研究分担者 |
村上 宏 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究員 (90260174)
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キーワード | 好中球 / コロニー刺激因子 / 血液細胞 / サイトカイン / 受容体 / シグナル伝達 / G-CSF |
研究概要 |
好中球は多能性幹細胞から、種々の中間段階の細胞を経て生成される。G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)は、この好中球の増殖と分化を調節する因子であり、その前駆細胞に作用し、種々の遺伝子発現を誘導させることにより、細胞を増殖、分化させる。本研究はG-CSF受容体cDNA、骨髄性白血病細胞株などを用いて、好中球の増殖、分化系を再構築することを目的とした。本年度は以下のような成果が得られた。 単離したG-CSF受容体をマウス骨髄性白血病細胞FDC-P1やL-GMに導入したところ、両者ともG-CSFに応答し、増殖した。しかし、L-GM細胞では、G-CSFとの培養後、5日目から増殖能は低下し、核の分葉など好中球特異的な形態変化が観察されたのに対し、FDC-P1では長期にG-CSFにより増殖した。この結果は、G-CSF受容体は、好中球への増殖、分化両者のシグナルを伝達する能力があること、ある細胞(L-GM)ではその両者のシグナル系が備わっているが他の細胞(FDC-P1)では備わっていないことを示している。ついで、G-CSF受容体に種々の変異を導入し、そのシグナル伝達能力を検討した。その結果、増殖シグナルには、膜貫通領域より約80アミノ酸のみで十分であるのに対し、分化のシグナルには受容体の細胞質領域全体が必須であった。ところで、好中球の分化過程では、種々の好中球特異的酵素の遺伝子発現が誘導される。そこで、その一つの酵素であるミエロペルオキシダーゼ(MPO)に注目し、そのプロモータ領域を解析した。その結果、MPO遺伝子の転写開始点より約1kb上流に、G-CSFに応答して、転写を誘導するエレメントが同定された。この領域には、骨髄性細胞にのみ存在する転写因子と、種々の細胞で普遍的に存在する因子、二種の転写因子の存在が認められた。前者はG-CSFの刺激により消滅することから負の転写因子、後者は正の転写因子と考えられる。
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