低蛋白食の急性腎不全発症・進展への予防効果とその分子機構

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05454217
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 柳沢 裕之 東京大学, 医学部(医), 助手 (10200536)
• 研究分担者: 和田 攻 東京大学, 医学部(医), 教授 (60009933)
• キーワード: 腎臓 / 蛋白食 / G-プロテイン / ホスホリパーゼ

研究概要

低蛋白食は、慢性腎不全の治療手段として臨床応用されている。低蛋白食により、腎機能面及び組織面よりみた腎不全の遅延・蛋白尿の軽減などが観察されているが、その生化学的機能は明らかではない。最近、腎内内分泌環境の変化、特にレニン-アンジオテンシンシステムの増強及び腎内トロンボキサンの産生亢進が腎不全進展の一要因と考えられている。昨年度の研究で、我々は、低蛋白が、急性閉塞性腎症の糸球体において、シクロオキシゲナーゼ活性の上昇を抑制し、腎血行動態の変更に直接関与するエイコサノイド(PGE_2・6-keto PGF_<1α>・TxB_2)の産生亢進を阻害することを見い出した。本年度は、この生化学的機構をさらに明らかにするために、高(40%)・低(6%)蛋白食を摂取させたラットの腎糸球体でのホスホリパーゼ(PL)A_2・PLC活性、G-プロテイン(Gαs・Gαi_2・Gαi_3・Gβ)量を測定した。低蛋白食に比し高蛋白食は、PLA_2活性を著明に上昇させたがPLC活性に影響を与えなかった。また、高蛋白食では、低蛋白食に比しGαi_2・Gαi_3の低下及びGβの上昇が観察されたが、、高蛋白食と低蛋白食の間でGαsの変化は認められなかった。G-プロテインβγ-サブユニットは、PLA_2の活性化に関与することが知られている。故に、高蛋白食は、Gβの上昇を介してPLA_2を活性化することが示唆される。逆に、低蛋白食は、Gβの上昇を阻害することによりPLA_2の活性化を抑制するように思われる。

研究成果

• [文献書誌] 柳沢裕之: "Protein intake affects levects levels of G-protein subunots Gαi_2,Gαi_3 and Gβ in rat glomewlar membrones" Kidney clnternational. 43. 1068-1073 (1993)
• [文献書誌] 柳沢裕之: "Bilateral ureteral obstwction alters levels of G-protein subuncts Gαs and Gαq/ii" Kidney clnternational. 43. 865-871 (1993)
• [文献書誌] 柳沢裕之: "Regional claiacterigation of G-protein subunits in glomemli,cortiies and medullas of the rat kidney" Nephron. 66. 447-452 (1994)
• [文献書誌] 柳沢裕之: "Dietary protein restriction in isolated glomemll from rats wid bilatcral ureteral obstwction" Kidney clintermational. 46. 254-251 (1994)
• [文献書誌] 柳沢裕之: "dnorenses in glomember eicosanoid prednction in rats wid bilaterval urctcrololstrcion me mediatid by enhamud enyyme activities of both the cydooxygenase and 5-lipoxygense paommys" Proceedinys of the Society for experimentol biology and Medpcine. 203. 291-296 (1993)
• [文献書誌] 柳沢裕之: "Effects of dietary protein on glomember eicesanoid prodnction in rats with filateral areteral obstmction" Proceedings of the Society for Expeumental biology and medicine. 207. 234-241 (1994)