研究課題/領域番号 |
05454222
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
徳永 力雄 関西医科大学, 医学部・衛生学, 教授 (40121959)
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研究分担者 |
河野 比良夫 関西医科大学, 医学部・衛生学, 助手 (30148522)
竹谷 茂 関西医科大学, 医学部・衛生学, 講師 (20121949)
圓藤 陽子 関西医科大学, 医学部・公衆衛生学, 助手 (50193438)
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キーワード | 化学発癌 / DNA付加物 / 酵母 / チトクロームP450 / 芳香属アミノ化合物 |
研究概要 |
本研究は化学発癌の機構を解明し、その結果を用いて、これら化学物質曝露による発癌の危険性を予知できる方法を確立することを目的とする。化学発癌はDNA損傷が契機であると考え、DNA付加物生成、一重鎖切断をDNA損傷の指標とした。我々は既にDNA付加物生成を発癌性のある芳香属アミノ化合物投与ラットに於て検出している。この発癌の本体はチトクロームP450により代謝されたN‐hydroxy化合物ではないかと推察されている。本年度においてはチトクロームP450が発癌物質の作成にどのように関与するかを検討した。酵母のプラスミドに外来のP‐450遺伝子を組み込み、その外来P‐450により化学物質を代謝させ、生成された代謝産物が酵母のDNAにどのような影響を与えるかを観察した。2種の異なる性質のP‐450遺伝子(CYP1A1またはCYP2B5)を組み込んだ酵母に芳香属アミノ化合物(4,4‐メチレンビス‐(2‐クロロアニリン)(MBOCA)を曝露させた。CYP1A1を組み込んだ酵母においては、3種の代謝物が検出され、その生成は8時間まで直線的に増加した。そして3種のDNA付加物の生成が確認された。この付加物生成は酵母にMBOCAを1時間曝露させただけで観察された。CYP2B5におけるDNA付加物生成はCYP1A1よりも顕著であった。しかもP‐450の種類によって生成されたDNA付加物が異なることから、代謝活性の相違により発癌可能性が異なることが推察された。これらの結果については、衛生学会誌(vol49.No1,1994)に発表の予定である。 現在、次の段階として、DNA付加物生成がDNA損傷時に誘導される酵素(ligase及びribonucleotide reductase‐3(RNR‐3))に及ぼす影響に関する実験を実施中である。
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