水酸化亜鉛を気管内投与し、病理組織学的検討を行った結果、肺胞 マクロファージのNBT陽性細胞が著名に観察され、さらにPCNA抗原が肺胞マクロファージ及び末端気管支上皮細胞にみられた。塩化亜鉛投与群では、それらの作用はみられず、水酸化亜鉛が肺胞マクロファージを活性化しスパーオキシドを産生し、さらに増殖刺激作用を有していることがin vivoで証明された。 硫酸亜鉛による亜鉛イオンとしての好中球に対する作用としては、スーパーオキシド産生刺激と過酸化水素産生刺激の2種類あって、それぞれ別の情報伝達経路を介していることが判明した。特に、スパーオキシド産生に関しては、受容体を介しているが、カルシウムイオンの関与が少ない伝達経路を介していることが示唆された。 酸化亜鉛も好中球のスパーオキシド産生刺激作用を有するが、細胞外カルシウムイオンの細胞内流入や貯蔵型カルシウムイオンの遊離などがなくても十分なスパーオキシド産生刺激作用があることや、還元型グルタチオン(GSH)の存在下でその作用が著名に増強されることなどや、さらに、チロシンキナーゼ阻害剤が低いIC50を示すことなどから、酸化亜鉛による好中球活性化の機序には、カルシウムイオンに依存しないチロシンキナーゼ型の受容体を介した情報伝達経路が関与している可能性が示唆された。
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