研究概要 |
本年度は,47例の健常成人男子を対象に,簡易な身体計測(身長,体重,腹囲),栄研式キャリパ-による皮下脂肪厚,Bモードエコーによる腹壁皮下脂肪厚の測定結果を用いて,CT画像の内臓脂肪面積を内臓脂肪量とし,これを基準変数として重回帰分析を行った。その結果,体重,腹囲および皮下脂肪厚から容易に内臓脂肪量を推定することができた。 この推定式を用いて1,014例の成人男子を対象に,推定した内臓脂肪量と一般定期健康診断時の医学的検査との関係を検討した。なお,内臓脂肪量のカットオフ値は中性脂肪,総コレステロール,HDLに対する内臓脂肪量の受診者動作特性曲線によって求めた結果34cm^2であった。汎用されているBMIによって24以上の過体重と24未満の正常体重に分けた上で,BMIで過体重と判定された者を内臓脂肪量34cm^2以上のI型肥満とそれ未満のII型肥満に分け,一方,BMIで正常体重と判定された者を内臓脂肪量34cm^2以上のIII型肥満とそれ未満の正常型の4類型に分けた。各類型の医学的検査の有所見率を比較してみると,I型では各検査とも有所見率が最も高く,正常型の有所見率が最も低かった。正常体重であるが内臓脂肪量の多いIII型肥満も有所見率が高った。このようにBMIと内臓脂肪を組み合わせて肥満を判定することにより,BMI単独よりよりきめ細かな健康管理区分の設定が可能となり,健康なライフスタイルの確立のための有力な手がかりとなるものと考えられた。
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