研究概要 |
1.X線体軸断層撮影(CT)によって容易に腹部皮下脂肪厚および内臓周囲の蓄積脂肪量が測定できることを確認した。 2.キャリパ-およびA,B両モードのエコーによる皮下脂肪厚の測定値とCTによる皮下脂肪厚の測定値との相互の関連性を検討したところ,CTとBモードエコーによる測定値,およびCTとキャリパ-の測定値との間の相関が高かった。 3.Aモードエコーによる皮下脂肪厚測定法は簡便であるが,測定値の変動が大きく,精度が劣っていた。また,腹囲は他の諸計測値および血清生化学検査所見と有意な関連を示した。 4.CT像からの内臓脂肪量は,デジタイザーを用いて測定した。内臓脂肪量は腹囲と非常に強く相関していた。 5.簡易な身体計測,キャリパ-による皮下脂肪厚,Bモードエコーによる腹壁皮下脂肪厚の測定結果を用いて,内臓脂肪量を基準変数として重回帰分析を行った結果,体重,腹囲および皮下脂肪厚から容易に内臓脂肪量を推定することが可能となった。 6.BMIと内臓脂肪量との組み合わせによって,I型からIII型の肥満と正常の4類型に分けることができた。I型肥満は過体重で内臓脂肪量が多く,減量治療の必要な肥満症に近い類型で,各検査の有所見率が最も高かった。II型肥満は過体重であるが内臓脂肪量の少ないスポーツマン的な体格の類型であり,III型肥満は過体重ではないが内臓脂肪量が多く,有所見率も高い内在性肥満の類型と考えられた。 7.この内臓脂肪量を加味した肥満判定法は,BMI単独よりきめ細かな健康管理区分の設定が可能となり,健康なライフスタイルの確立のための有力な手がかりとなるものと考えられた。
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