研究概要 |
1)高血圧ラットSHR55匹に0,3,30,20ppmの塩化カドミウムを含む飼料を一日に15g12週間投与した。血圧は3,0,30,300ppmの順に高かった。各種の生化学的測定を行ったところ、3ppm群のコレステロール値が高かったので、鉛曝露によって脂質代謝異常が起こり、血圧が上昇するのではないかと考えられた。正常血圧ラット32匹について実験を行ったが、カドミウム曝露による血圧の上昇は認められなかった。このことから、カドミウム曝露による血圧上昇は高血圧素因のある動物にのみ起こると考えた。 2)高血圧ラット28匹、正常血圧ラット32匹に塩化鉛0,3,30,300ppmを含む飼料を一日に15g,12週間投与した。高血圧ラットのみ3,30,300ppmの順に血圧が上昇した。 高血圧ラットSHR73匹を6群に0,0.3,1,3,0,30ppmの塩化鉛を含む飼料を投与したが、実験開始当初数週間にわたり10ppm群の成長が著しく抑制された。一部のラットにはコレステロール合成阻害剤であるプラバスタチン0.2mg/kg1日を鉛に加え経口投与した。10ppm群の体重はかなり回復はしたが、10ppm群の血圧が常に低かったので、30週目まで鉛投与を30週間に延長したが、実験結果は再実験後にを解析する。 4)新たに、高血圧ラットSHR104匹を用い再実験を行った。12週目に屠殺し、各種の測定を行った。0.3,1mugPb/g群の血圧が4-6週目に15mmHg程度上昇し、心重量増加も0.3,1mugPb/g群の血圧上昇の可能性を支持していた。プラバスタチン投与群では鉛による血圧上昇、心重量増加が抑制されており、脂質代謝異常が血圧上昇に寄与している可能性を示唆していた。脂質代謝のなかではレムナント様リポ蛋白のみが0.3mug/g群で上昇し、プラバスタチン投与で抑制されており、脂質代謝異常による血圧上昇の可能性を示唆していた。
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