研究概要 |
1)正常血圧ラット(Wistar-Kyoto)ならびに高血圧ラット(SHR,Spontaneously Hypertensive Rat)に0,3,30,300ppmのカドミウムを含む固形飼料を投与したところ,加齢で起こる収縮期血圧の上昇が3ppmのカドミウムに曝露したSHRラットで加速,300ppm群のSHRラットでは抑制されており,高血圧素因が複合因子であることが分った。 2)正常血圧ラット(Wistar-Kyoto)ならびに高血圧ラット(SHR)に0,3,30,300ppmの塩化鉛を含む固形飼料を投与したところ,加齢で起こる収縮期血圧の上昇が3ppmのカドミウムに曝露したSHRラットで最も強く加速,30,300ppm群のSHRラットででも加速されており,高血圧素因が複合因子であることが分った。さらに,SHRラットを用いた追加実験を行ない,鉛では0.3,1ppm曝露群が最も収縮期血圧の上昇が大きく,生化学検査とHMG-CoA抑制剤であるプラバスタチン添加実験結果より,この鉛曝露による血圧上昇がコレステロール代謝異常を介した粥状動脈硬化によるものと考えられた。 3)正常血圧ラット(Wistar-Kyoto)ならびに高血圧ラット(SHR)に0,1,3,10,30ppmの塩化第二水銀を含む固形飼料を投与したところ,水銀に曝露した総てのSHRラットで加齢で起こる収縮期血圧上昇が加速されることが分った。生化学検査より,この血圧上昇がコレステロール代謝異常を介した粥状動脈硬化である可能性が示唆された。
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