研究課題/領域番号 |
05454235
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研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
上羽 昇 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部・病理課, 課長 (60250297)
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研究分担者 |
山崎 勝弘 大阪府立公衆衛生研究所, 薬事指導部, 主任研究員 (20250334)
高木 康博 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部・病理課, 主任研究員 (20192148)
前田 章子 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部・ウイルス課, 主任研究員 (40250279)
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キーワード | 抗体産生能 / マウス / 生薬 / 感染防御能 / 漢方方剤 / 高齢期 |
研究概要 |
本年度は昨年に引き続く感染実験と新たに薬効の見られた生薬のin vitro,in vivo両系で免疫機能に及ぼす効果を調べた。(1)感染実験:高齢期のウイルス感染に対する麻黄附子細辛湯の効果を1年齢マウスを用いて調べた。実験群はマウスへの投与量により0mg群、0.5mg群、および5mg群の3群とし、各群18〜20匹のマウスを用いた。最終投与の翌日に、インフルエンザウイルスをネブライザーで噴霧して吸入感染させた。感染3、6、10日後に肺からのウイルス検出、ウイルス量測定を試みた。また咽頭ぬぐい液からのウイルス検出も試みた。その結果、肺から検出されたウイルス量は0mg群>0.5mg群>5.0mg群の順に低くなっていた。また咽頭ぬぐい液からは0mg群では2日目1/5、3日目3/5、4日目2/5、5日目1/5例でウイルスが検出された。しかし0.5mg群では3日目に2/5例で検出されただけであった。さらに5mg群では6日間を通じてウイルスは検出されなかった。これらの成績から麻黄附子細辛湯はインフルエンザウイルスの感染に防御的効果をもつこと、感染後上気道でのウイルスの排泄を顕著に抑制する効果をもつことが明らかとなった。現在インフルエンザウィルスの感染後に当方剤を投与し、その治療効果を調べる実験を進行中である。(2)検索した種々の生薬のうち、カバノアナタケでは、1年齢および2年齢のマウスの培養脾臓細胞中に生薬抽出物と抗原を添加した後、出現する抗体産生細胞数を算定したところ、その薬効は1年齢での成績よりも2年齢での成績の方が効果が大きい事が明らかとなった(in vitro系)。この生薬抽出物を1年齢マウスに経口投与した後、抗原刺激して、脾臓中の抗体産生細胞数を算定したところ、5日間の経口投与では抗体産生細胞数の増加は僅かであったが、10日間の投与では抗体産生細胞数が対照群の2〜3倍に増加していた(in vivo系)。これらの成績からカバノアナタケにも高齢期の免疫機能を高める作用がある事が示唆された。さらに約20種の生薬をin vitroの実験系で検索したところ、IgM抗体産生能を高めると考えられる生薬を新たに数種見いだしている。
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