研究概要 |
EBウイルスでトランスフォームした慢性関節リウマチ(RA)患者B細胞はIgG-Fcとのみ反応する抗体を産生するラインの場合と抗インスリンや抗テタヌストキソイド、抗コラゲンタイプII抗体をも産生するラインになる場合とが認められた。両群での補体結合能を抗C4抗体を用いて検査すると、IgG-Fcとのみ反応するmonoreactive抗体がより高い補体結合能を示した。 RA患者の血清および滑液からSephadex G-200とProtein G-Sepharose 4Bを用いたアフィニティーカラムを用いてIgM-リウマトイド因子(RF)を精製し、ヒトミエローマ血清から得られたヒトIgGサブクラスIgG_1,IgG_2,IgG_3,IgGとの反応をみると、血清IgM-RFはIgGにほとんど反応しなかったが滑液IgM-RFはIgGとも反応することが認められた。さらに、IgG-RFのIgGとの反応における補体結合能をみると、IgGと反応した滑液中IgM-RFがIgM単位当り最も強いC4結合能を示した。 RA患者の血清と滑液につきマイコバクテリウムhsp65KDに対する抗体をELISAで測定すると、IgG,IgA,IgMのすべてで滑液中の抗体力価の高値が認められた。さらに、マイコバクテリウムhsp65KDに対するリンパ球の反応をみると、滑液リンパ球の反応が末梢血リンパ球の反応より高値の例がみられ、このような症例は発症5年以内に多く認められた。また、マイコバクテリウムhsp65KDに対するリンパ球の反応性はリンパ球中におけるHLA-DR^+gammadelta^+T細胞の比率と相関した。以上の成績から、慢性関節リウマチの関節局所では、補体活性化能をもつリウマトイド因子が産生され、活性化された補体成分による好中球の遊走や血管の透過性が亢進し、関節病変が進行すると考えられた。また、関節炎局所では外来性ないし自己のhspに対するリンパ球反応の亢進が認められ、hspと共通抗原性をもつ軟骨の破壊が起こる可能性も考えられた。
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