研究概要 |
申請者らは、本年度の研究計画にしたがって、HGF産生におよぼす各種肝疾患々者血清の影響について検討した。標的細胞としてはMRC-5細胞を用い、MRC-5細胞を5×10^4個/cm^2の密度で24穴プレートにまき、10%FCSを含む培地で24時間培養後、各種肝疾患々者血清を添加して培養した。正常者血清のHGF産生誘導活性に比較して、劇症肝炎、急性肝炎、慢性肝炎および肝硬変患者の血清のHGF産生誘導誘活性は、正常者と同じレベルから2倍以上のレベルに分布した。平均値ではこれらの肝疾患々者の血清は、いずれも正常者の血清に比較して著しく高いレベルを示し、とくに急性肝炎で著しかった。また、血清HGF値とHGF産生誘導活性の間には正の相関がみられ、高いHGF産生誘導活性を示す例では血清HGF値も高値を示した。 MRC-5細胞に対しては、IL-1,INF-alphaのサイトカインがHGF産生を促進させるが、肝疾患患者血清中のHGF産生誘導活性はこれらとは異なる物質であることが抗体を使った実験から示唆された。また、患者血清中のHGF産生促進因子がMRC-5細胞においてHGF mRNAの発現亢進をともなっているかどうか現在検討中である。
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