研究課題/領域番号 |
05454252
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
泉 孝英 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (80027101)
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研究分担者 |
北市 正則 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (00161464)
長井 苑子 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (30217955)
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キーワード | 特発性肺線維症 / 可溶性IL-2 / リポコルチン遺伝子 / II型肺胞上皮細胞 / 表面抗原 / 接着因子 |
研究概要 |
1.特発性肺線維症(IPF)症例末梢血における可溶性IL-2レセプターの測定:IPF病変の成立に、マクロファージが種々の生理活性物質を産生して線維芽細胞の増殖に関与していることは従来より指摘されているところである。この観点からの検討の一環として、IPF症例の末梢血単球を用いて、可溶性IL-2レセプター産生量の測定を行った。結果として、産生増加が認められ、かつ、BALFマクロファージ%との間に逆相関のみられることも明らかにされた。このような事実の相関性は、IPF症例における炎症制御機構の複雑さを示すものであると理解された。 2.IPF症例におけるBALFマクロファージおよび末梢血単球活性化の指標として、リポコルチン遺伝子の発現状況について検討した。しかし、IPFでは高い活性の発現は認められず、高い活性発現のみられたサルコイドーシスとは、IPFは基本的病態において異なるところのあることが示された。 3.II型肺胞上皮細胞の分離と表面抗原、接着因子の発現状況に関する検討:IPF病変成立の初期段階においてII型肺胞上皮細胞の受ける傷害は、IPFの病態を考察する上で、きわめて重要なことであるが、ヒトにおいては、未だII型肺胞上皮細胞の確実な分離方法は確立されてはいなかった。肺標本を細切、酵素処理、濾過、遠心分離の技法の組み合わせにより70〜80%の高い純度のII型肺胞上皮細胞の分離に成功した。そして、各種のモノクローナル抗体を用いて、II型肺胞上皮細胞の表面抗原、接着因子を明らかにすることができた。今後は、数量的にきわめて困難な作業であはあるがIPF症例のII型肺胞上皮細胞を採取し、その性状を明らかにし、IPF病態生理解明の一つの技法とする計画である。
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