研究課題/領域番号 |
05454258
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
貫名 信行 東京大学, 医学部(医), 助教授 (10134595)
|
研究分担者 |
岩坪 威 東京大学, 薬学部, 客員助教授 (50223409)
|
キーワード | 多系統萎縮症 / glial cytoplasmic mclusion / αB-Crystallin / エビキチン |
研究概要 |
Glial cytoplasmic inclusion(GCI)は多系統萎縮症(MSA)に特異的に出現する細胞内封入体である。本研究では昨年度MSA凍結脳からGCI分離のためのアッセイ系について検討し、部分精製法を確立した。 さらに今年度GCIの構成成分を同定するためMSA脳のGCIenriched fractionと対照脳の同分画とを2次元電気泳動のImmunoblotを行い、αB-Crystallin抗体によって染色、またGallyas染色を行なった。MSAにおいて増加している蛋白はαB-Crystallin抗体によって認識され、さらにこの蛋白はGallyas染色によっても認識されたことからαB-CrystallinはGCIにおけるGallyas陽性となる成分である可能性があることが示された。この点からαB-CrystallinはGCIの構成成分である可能性がさらに強まった。 また他の構成成分の検索のためcarboxyl methyl transferase(CMT)に対する抗体を用いたMSA脳の染色を行い、これがGCIを染めることを示した。CMTは蛋白質のラセミ化の修復に関係している酵素と考えられ、GCI含有細胞においてはracemizationが起こっている可能性がある。このようなラセミ化は他の細胞内封入体である、ユビキチン化されたアルツハイマー神経原線維変化、老人斑アミロイドなどにも報告されており、GCIもグリア内において長時間蓄積し、そのためにその構成蛋白のアミノ酸がラセミ化され、修復機構が働いているものと考えられた。今後の分析の上で注意すべきであることがわかった。
|