研究概要 |
アデノウイルス・ベクターを用いた進行性筋ジストロフィーに対する遺伝子治療の基礎的研究を行うことを目的として,今年度は生化学的にも形態学的にも検出することが可能な、beta‐galactosidase(lacZ)遺伝子のアデノウイルスゲノムへの組み込みを行った。 1.骨格筋と心筋に特異的なミオシンH鎖IIBプロモーターとbeta‐galactosidase(lacZ)遺伝子からなるユニットを作製した。 2.同ユニットを、アデノウイルスゲノムのうちE1A,E1B,E3を欠失したコスミドカセットに組み込み,発現コスミドカセットとした。 3.現在、斎藤らの方法に従って、アデノウイルスゲノム末端蛋白複合体と、発現コスミドカセットを293細胞に導入し、組み替えアデノウイルスを得る実験を行っている。 今年度中に組み替えアデノウイルスが得られれば、引続きマウス筋芽・筋管細胞系C2、マウス骨格筋およびマウス個体に導入し、アデノウイルスベクターの有効性と,ミオシンH鎖IIBプロモーターの特異性を検定する予定である。両者の確認を前提に、lacZ遺伝子の代わりに、ジストロフィン遺伝子の組み替えを考えている。 一方、本研究と平行して、ウイルスベクターを使用しない遺伝子導入法についても研究を行った。今年度は、正荷電リポソームとりわけ、DOSPA/DOPEとDOGSを用いることにより、マウス筋芽・筋管細胞系C2および、マウス線維芽細胞系10T1/2に対する効率の良い遺伝子導入法を確立することができた。現在この方法を用いて、マウス個体に対する遺伝子導入を行っている。
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