研究課題/領域番号 |
05454266
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
外山 淳治 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (20023658)
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研究分担者 |
神谷 香一郎 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50194973)
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
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キーワード | 洞結節 / 自発興奮 / 機械的伸展 / カルシウム / 筋小胞体 / caveola |
研究概要 |
伸展刺激による洞結節自動能亢進の機序を、(1)伸展に伴う細胞内Ca^<2+>動態の変化、(2)細胞微細構造の変化の観点から検討した。 <方法>ウサギ心臓の右心房から短冊型の洞結節組織片(1.5mm x 3mm)を切り出し、32℃ Krebs Ringer液による表面灌流下でmechanical stimulatorによる伸展刺激(0.1〜2.0g、5秒間)を加えた。洞房結節歩調取り組織の細胞外電位を高感度で増幅し、自発興奮頻度の変化を観察した。神経終末に内在する自律神経作動物質の影響を除外するため、propranolol(0.6μM)とatropine(2μM)作用下で実験を行った。無伸展状態の標本と1.0gの伸展を加えた標本を2.5% glutaraldehydeで固定し伸展に伴う微細構造の変化を電顕を用いて観察した。 <結果>無処置の標本(control)に対して、0.2〜2.0gの伸展刺激を加えると、可逆性の自動能亢進反応が生じた。各標本における自発興奮頻度の増加率と、伸展張力の間には正の相関が認められた。伸展刺激に対する自動能亢進反応の大きさは細胞外Ca^<2+>濃度に依存しており、0.3〜2mMの範囲では細胞外Ca^<2+>濃度が高い程、自動能亢進が著しかった。L型Ca^<2+>チャネルブロッカーであるnifedipineは伸展刺激に対する自動能亢進反応に影響を及ぼさなかった。筋小胞体(SR)のCa^<2+>放出チャネルからのCa^<2+>遊離を促すryanodine(0.1μM)やSRのCa^<2+>ポンプ阻害薬作用下では、伸展刺激に対する自動能亢進反応が有意に減弱した。透過電顕による観察上、伸展時の洞結節細胞の微細構造-細胞膜や各細胞内小器官は無伸展標本と同様正常で、伸展による形態学的変化を認めなかった。Freeze fracture標本では伸展に伴い細胞膜caveolaeの開口径増大が観察された。 <結論>機械的伸展刺激による洞結節自動能亢進に、SRからの細胞内Ca^<2+>移動が関与していることが示唆された。自動能亢進を起こす強さの伸展刺激は洞結節細胞膜上のcaveolae開口径を増大することが判明した。
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